長けるということ

2021年10月5日
何かに長けるということは、
同時にその他の何かに疎いことを意味する。
ヴァイオリンに長けている人は概してサッカーに疎い。
ヴァイオリンとサッカーの両方に長けていたとしても、
寿司を巧みに握れるわけではない。
「何かに長ける」とは、
特定の何かに「費やす時間」が長けているのであり、
その他を犠牲にしてきたことからするとそれもまた当然である。
長けているのはまさに時間であり、
時間とはその人物の人生、存在そのものである。
‟その人物に固有の時間”が特定の物事に長けている、
その事実こそが人の実存を形作る。
人生という限りある時間の中で人は長けるべき何かを見つけ、
結果それ以外の何かには疎くなる。
人とはこの意味で元来バカな存在であり、
その飾らず驕らないバカ正直な信念こそは、
日本人が古より重んじてきた誠実の本質なのである。

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