2020年8月16日
かつては未来へと投影されていた幻想、今はそれをしていた過去へと投影されている。
神秘への愛着は自然との交わりの中で自ずと生じ、
世界の壮大さと生きることのスリルや刺激を洞察させてきた。
その満たされた精神やその感覚への憧憬において、
今は当時の幼い自分を恋慕し、そこに還る術があることを切望する。
物心ついた頃からずっと神秘のとりこになっていた。
底知れぬ未知への好奇心や畏怖の感情に支配されることの快感が生きていることの実感であり、
その喜びに出会うことが日常を生きる上での渇望となってきた。
自分を待ち受ける未来への果てしない幻想を膨らませつつ、
今ここにある世界との出会いにおいては、
過ぎ去り行くその運命に対して既に淡い喪失感と無常感を抱いていた。
言い知れぬ寂しさを振り払うかのように冒険への情熱を燃やし、
世界の果てしない奥行きに恋焦がれ、
挑戦とそれを可能にする勇気を以って、自己の存在を見出してきた。
歳を重ね、日を追うごとに自己の死を強く意識するようになった今、
これまでの冒険を命が尽きるまで貫徹することこそが与えられた使命だと捉え、
またそう信じている。
その使命を全うすることこそ、幼い頃から抱き続けてきた幻想に応えることであり、
過ぎ去っていった時間との出会い、童心への回帰をもたらすことを覚える。
神秘は自分がいくつ歳を重ねても神秘なのであって、
だからこそ、いくつになっても自分は子供でいられる。