2007年11月24日 (ウィーン滞在中、日本の方々との出会い)
自らの可能性を信じ、自らの夢を求めてこの地へとやってくる日本人たち。
彼らは自分にとって、理想を一つの形にした姿だ。
彼らは異国の地で宿命的に出くわすたくさんの逆境を乗り越え、
今もなお夢を求め、ただ前だけをしっかり見据えて走り続けている。
誰のものでもない、自身の中から生まれ、自ら讃え、戒め、
育ててきたその独自の哲学を各々が胸に秘め、
瞬間の流れに臆することなく、常に自身を見つめている。
自分は、彼らの心こそ大和魂と呼びたい。
大切なのは、何が起こっても自らを信じ続け、
常に自身を見つめ、戒めていること。
彼らから学びとるべきことは数え切れないほどたくさんある。
そんな先輩たちから学びとることはしっかり押さえつつも、
自身から生まれる価値観を常に見ていなければならない。
人々がなぜ音楽に感動するのか。
なぜドラマを見て涙を流すのか。
いったい何に心が動かされているのか。
一つの大きな要因は「共感」にあるのではないか。
人々が自身以外の者の感情を理解するには、その感情を経験していなければならない。
ということは、人々は知らず知らずのうちに、
他の感情に触れ、自らが過去に経験した感情を呼び覚まし、
そこに感傷を抱いて涙を流すのであろう。
昨日、オペラを観て深い感銘を受けてしまったのは、
自らの恋愛に関する複雑な遍歴が作用していることはもはや自明のことであろう。
幅広い経験こそ人として重要な「共感」を生み出し、豊かな人格を育てる。
特に「和」と「共感」を重んじる日本人の端くれである以上、
それを決して忘れることなく自身を見つめていよう。