2007年11月27日 (初めてのヨーロッパとの出会い)
ヨーロッパでの一人旅が間もなく終わろうとしている。
今回の旅で得たものは計り知れない。
この地に降り立ってまず最初に発見したものといえば、
やはり「人」というモチーフだろう。
彼らが表現するもの、音楽・美術・建築物など、
全てのモチーフには様々な形で人が用いられていた。
彼らの美意識、美徳、その他全ての価値観には、
「人」という概念が根差していて、
その根源を司っていたのはやはり神であった。
しかしその神という存在もまた、
人というモチーフがすべての元になっているのであろう。
彼らの神への想いもまた初めて見るもので、
多少なりと想像していたそれとはやはりかけ離れていた。
彼らの心を育んだのは神であり、
神を想うことによって彼らは神に見守られてきた。
古より私生活に深く根差してきた彼らの信仰心は、
限りなく普遍的なものであり、
また限りなく美しいものであった。
そうして豊かな人間性を得て、
彼らの営みは栄えていった。
それぞれの町で出会ったそれぞれの独自性は、
人々がごく普通に私生活を営み、
ごく普通に人生を歩むことで図らずも培ってきたもので、
それは幾年も昔よりその地に根を張り、
今もなお瞬間の流れの中に宿っていた。
しかし、彼らもまた「人間」という過ちを犯す生き物であり、
その心には、やはり暗い過去の深い爪痕を残していた。
神は絶対ではないのだ。
そして彼らは生きている。
文化という大きな違いはあれど、
彼らもまた仕事をし、恋愛をし、家族を持ち、泣き、笑い、
その瞬間が来れば死ぬ。
この時間という流れの中で、
彼らも同じように生を分かち合っているのだ。
この旅で得たものは計り知れない。
これから訪れる、いずれは過去となるその瞬間の連なりを歩む上で、
この旅で得たものが大きな影響を及ぼすことはもはや間違いない。
ならばどのようにして歩むべきなのか、やはりそこが、
この旅を価値あるものとする上で最も重要な課題となるだろう。
ヨーロッパでの旅は間もなく終わる。
そしてまた新たな旅が始まり、その新たな旅もまた、
その先へと続くさらなる旅への糧となるだろう。
思考を絶やしてはいけない。
旅は死ぬまで終わらないのだ。
自らの存在価値を見出すということは、
生きるということに他ならない。
残り少ない時間でしっかりと整理していこう、
彼らから学んだたくさんの哲学を。
そしてその先に待ち受けるのは、
また新たな「自らへの価値」なのだ。