過去と未来

2008年7月27日 (モーツァルテウム国際音楽アカデミーを終えて)
ドイツ・ミュンヘンへとやって来た。
前回の旅路とは全く正反対の気候。なんとなく懐かしさと抱擁感が入り混じる。

ザルツブルクでの快挙は我ながら見事だった。この2週間という時間を通して、世界との接触に大きな意義を見出すことができた。ここにこれまで創り上げてきたすべての瞬間の流れが終結した。これは紛れもない必然が起こしたことだった。

世界は広かった。世界で瞬間の流れを生み出し続ける人々には、それぞれに何物にも代え難いアイデンティティという時間の積み重ねが備わっていた。彼らは俺とすべてが違い、そして何一つ変わらない。
そう。やはり彼らには想いがあった。情熱とは何か。人が人自身を突き動かす、衝動という名のエネルギーの正体とは。俺にとっては未だ謎めくこの一つの大きな有機体に確固たる必然性を求めて、彼らはそこに自身の存在を見出し、自身の目指す方向へと突き進んでいた。
それは当然、彼らにも守るべき過去があるからこそなせるものに違いない。過去は未来の積み重ねの上に形成される。その事実の下に生きていることは誰一人変わらない。だからこそ彼らは、常に未来を見据えている。

彼らにとっても同じなんだ。自身の可能性に誇りをもって瞬間の流れを作り出す人々。その人々の宿命の前では、もはや過去は未来から生まれ、未来は過去を見出す。自然の摂理の下で、彼らには大きな可能性が与えられる。

そして自然の摂理は共鳴をも生み出す。人々は共鳴し合い、さらなる大きな有機体を築き上げる。もはやそこにはエネルギーと威厳が備わっている。まるで一つの音楽を奏でているように。

さあ、旅はまだまだ終わらない。一歩ずつしっかりと踏み進もう。
もはや未来を見据えられる人間こそが過去を作り出す。

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